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市民向けキャンペーンコンテンツWAKE UP!仙台「今月の分別人」9月号

鳴海屋紙商事株式会社 本部長:鳴海幸一郎さん 「仙台七夕」と「リサイクル」。
その二つには深~い関係があるのです。

七夕飾りに込められた「もったいない」の精神。
その由来を知れば七夕の見方も変わる!?

今年も盛況のうちに幕を閉じた「仙台七夕まつり」。"日本一の七夕"として知られるこの祭を陰で支えているのが、七夕飾りを作って一世紀以上、創業130余年の歴史を誇る紙問屋・鳴海屋紙商事の本部長・鳴海幸一郎さん。お話を伺うと、一見関係なさそうな「仙台七夕」と「リサイクル」の間には、ある共通する思いがあることが分かりました。
「仙台の七夕には"七つ飾り"と云われる飾り物があり、それぞれに意味があります。一つ目は、機織や技芸の上達を願う「吹流し」。これは織姫の織糸を垂らした形を表しており、最上部には仙台七夕が元祖と云われる丸い大きな「くす玉」が飾られ、飾り付けの主役となっています。二つ目が延命長寿を願う「折鶴」。家族の長老の年の数だけ折り、子どもたちは折紙を通じて、真剣に最後まで取り組む心を学びました。三つめは学問や書道の上達を願う「短冊」。和歌や願い事を墨で書いて、願いが叶う様に祈ります。四つ目は「紙衣」。病気や災難の厄除けや、裁縫の上達を願います。五つ目が豊漁や豊作を願う「投網」。幸運を寄せ集めるという意味も含まれています。六つ目が節約、貯蓄の心を養う「巾着」。しっかりとひもで結ばれ無駄遣いを戒めています。そして七つ目が「屑籠」。飾り物を作るときに出た紙くずを入れてつるし、物を粗末にしないで役立てること、整理整頓すること、といった倹約と清潔の心を教えています」と、仙台七夕の七つ飾りの由来を説明してくれた鳴海さん。仙台で七夕祭が始まったのは伊達政宗の時代。当時、紙はとても貴重なものでした。飾り一つひとつに込められた思いには、実は、そんな物を大切にする、もったいない精神が息づいていたんですね。

震災をきっかけに生まれた
「仙台七夕竹紙プロジェクト」

そんな"物を大切に"という思いが込められた七夕飾りだけに、祭が終わった後の飾り物や竹は、様々なかたちでリユース、リサイクルされています。飾り物の方は、翌年の仙台七夕の宣伝用のディスプレイに活用される他、盆踊りなど県内外のお祭りにお嫁入り。本場仙台の七夕飾りということで嫁ぎ先でも大変喜ばれています。一方竹の方は、毎年お盆の8月13日(雨天順延)に一番町四丁目商店街で開かれる「仙台竹灯り」の竹灯籠として再利用され、終わった後は竹炭などにしていましたが、最近では、竹を使った「竹紙」の材料としてリサイクルされているそうです。
「きっかけは東日本大震災でした。あの時は5月まで物流も止まっていて、飾りを作るための紙の入手も困難。七夕自体の開催も危ぶまれていました。そんな時、鹿児島県川内(せんだい)の工場で、竹を材料にした竹紙を作っている製紙メーカーさんが、竹紙×竹飾り、仙台×川内というご縁で、こんな時だからこそと、わざわざトラックで日本海側を回って竹紙を送り届けてくれたんです。その竹紙で折ったのが、震災の年に一番町・藤崎前に飾られた、市内の公立小・中学校の子どもたち全員で折った8万羽の折り鶴。私も幼少の頃から七夕の飾り付けに携わっていますが、飾りを見て涙が流れたのはあの時がはじめてでした」と当時を振り返ります。
その後、その恩返しにということではじまったのが、仙台七夕まつりの竹を紙の原料にリサイクルする「仙台七夕竹紙プロジェクト」です。

祭が終わった8日の夜に撤去された竹は、翌9日の早朝、仙台市環境局の手で回収され、その後分別作業を行い、竹紙の材料として再利用可能な竹は、小枝を切り落として規定サイズに切り揃えられ、トラックではるばる鹿児島県・川内の工場に運ばれます。「何しろ手間も人手もかかるので、正直普通の紙よりは割高にはなります。そこをみんなで知恵を出し合ってクリアして、いずれは"仙台七夕竹紙"をブランド化していきたいですね」と語る鳴海さん。仙台七夕から生まれた竹紙に包まれた仙台みやげ...。ちょっと素敵だと思いませんか?

見るだけのおまつりから
再び参加するおまつりへ。

鳴海さんは仙台七夕の"伝道師"として、年に20回近くのセミナーやワークショップを通じ、子どもたちを中心に、七夕の歴史や伝統、そこに込められた思いを広く伝えています。
「以前はボールペン1本使いきらずに捨てていたけど、こうやって人前で話すようになってからは、随分リサイクルを意識するようになりました。」という鳴海さん。
個人としてはもちろん会社としても「シュレッダーに紙をかけるときは、長いそうめん型のカッティングで出しています。繊維が残った古紙にしやすいようにね。あとは印刷屋さんに届けるための大きい紙を切って出た余り紙は、納品伝票の大きさに切って使ったりします」というように、紙屋さんならではのごみ減量方法を実践しています。
「昔の七夕なんかは、新聞のちらしで自分のところの輪つなぎを作っていましたよ。これまでも、予算がないけど七夕飾りを作りたいという相談を受けた出版社には、じゃあバックナンバーとか余っているやつでいいじゃないって言って、実際にそれで飾り付けしたこともありました。我々は本業なので、やはり伝統的な和紙を使いますけど、大切なのは思い。以前、在仙の大学生たちが作ったペットボトルのキャップをつなげて吹き流しにした飾りを見たことがありますけど、七夕の原点をちゃんと理解した上での表現なら、そういうリユースもありだと思います」とおっしゃいます。
「震災以降、ただ見るお祭りから、自分たちで願いを込めた飾りを作って参加する、そんな本来の七夕まつりの雰囲気が戻ってきたような気がする」という鳴海さん。さて来年の七夕、みなさんは短冊にどんな願いを書きますか?