プラスチック

水平リサイクルペットボトルの活用事例:第61回日本臨床細胞学会秋期大会

 仙台市では、株式会社伊藤園およびティーエムパック株式会社との連携協定に基づき、ペットボトルを繰り返しペットボトルにリサイクルする「水平リサイクル」の取り組みを進めています。
 また、水平リサイクルされたペットボトルの一部を活用し、「ワケルくん」ファミリーのラベルがデザインされた特製ボトルむぎ茶が市内で販売されています。

 このたび、令和4年11月5~6日に仙台サンプラザおよびホテル仙台ガーデンパレスで開催された「第61回日本臨床細胞学会秋期大会」でも、来場者へのサービスドリンクとして「ワケルくん」むぎ茶が利用されました。
 学会長の東北大学災害科学国際研究所 伊藤潔教授に、「ワケルくん」むぎ茶採用の経緯やご所感、学会での環境配慮の取り組みについて伺いました。

伊藤 潔 教授

―― 「ワケルくん」むぎ茶採用の経緯についてお聞かせいただけますでしょうか?


伊藤教授:ここ2年、コロナ禍のためほとんどの学会がオンライン開催となっていました。ですが、学会の目的は質疑応答やディスカッション等を通じた参加者の交流ですので、オンラインでは盛り上がりに欠ける面がありました。
 本学会は久しぶりの現地開催であり、さらに本学会の仙台での開催は15年ぶりです。ありがたいことに、今回は予想を超える1,500名以上の来場登録がありました(オンライン含めると参加者約6,000名)。その中には、東日本大震災後に仙台を訪れるのは初めてという方もたくさんいらっしゃいます。せっかくの機会ですので、そのような方に仙台のことを知っていただけるよう、パンフレットや観光情報の提供、お弁当やお土産品などで仙台の特色を出すため準備を進めていたところ、「ワケルくん」むぎ茶のことを知りました。

―― 今回、「ワケルくん」むぎ茶のことを知ってどのように思われましたか?


伊藤教授:素晴らしいと思いました。私も仙台住まいが長いので、「ワケルくん」にはなじみがあります。仙台ならではのデザインで、かつ環境にも配慮しているというのは、まさに仙台らしい取り組みといえるのではないでしょうか。今回、2会場4か所のドリンクコーナーに設置する飲料として採用することにしました。
 また、本学会のパンフレットにもペットボトル水平リサイクルの取り組みを掲載し、オンライン参加者を含む参加者全員に配布・郵送しました。震災の経験と同じで、良い取り組みは広く発信してこそ意義があるものです。そして、情報発信は学際的な専門家や企業出展者等、様々な方の交流の場である学会の果たすべき役割でもあります。仙台市の取り組みが本学会を通じて全国に広まっていけば幸いです。

―― 今回の学会で、他に環境配慮を意識して取り組まれたことはありますか?
伊藤教授: 学会の主催者として、無駄に捨てられるものを参加者に提供しないことが大事だと思います。学会ではよくコングレスバッグを配布しますが、学会の名前が大きく入っているバッグは使いにくく、開催後は捨てられてしまうこともあります。本学会のバッグは学会名を英語表記のみにして、デザイン性も高くすることで学会後も長くお使いいただけるようにしました。また、生地も丈夫な厚手のものにこだわりました。さらに、バッグはフェアトレードで調達することで、環境配慮のみならず貧困撲滅の観点からもSDGsに貢献しています。来場者からも今回のSDGsコングレスバッグは好評をいただいています。

―― 他の学会でも、このような環境配慮の取り組みは浸透してきているのでしょうか?
伊藤教授:SDGsという言葉が広まってきてはいますが、正直なところ学会の場ではこれからだと感じています。ですが、学会で実践された良い取り組みは次の主催者に引き継がれていくものです。今回の水平リサイクルペットボトルのような取り組みが、国際学会も含め他の学会にも波及することを期待します。

 今回の学会の会場となった仙台サンプラザでも、学会・催事等の主催者向けに「ワケルくん」ボトルむぎ茶の販売を開始しました。
 イベント等でペットボトルをご利用の際は、ぜひ「ワケルくん」ボトルむぎ茶をご活用ください。