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ごみ収集の現場から④

普段何気なく捨てているごみ。出す側は「捨ててしまえば終わり」と思いがちですが、しかし”ごみのその先”に携わる人たちがいます。すみやかにごみ収集し、種類別に適切な処理をする。そこでどんなことを思い、感じているのか。このシリーズではそんなごみ収集の現場に携わる人たちにお話しをうかがいました。

株式会社 泉 馬場涼太さん

馬場さんのお仕事内容について教えてください

「八乙女・南光台エリアで家庭ごみとプラスチック資源収集を担当しています」

―お仕事の一日はどんなスケジュールですか?

「まず朝8時に”酒気帯び”ではないかどうかを確認するアルコールチェックがあります。その後朝礼で情報を共有した後、全員でラジオ体操を行います。そして車両整備、点検を行い出発。ここまでおよそ20分程度で、8時30分頃には収集現場に到着します。午前中の収集先を回り、昼に1時間の休憩をはさんでから午後の収集先へ。この間4~5回ほど、収集したごみを松森の焼却工場へ搬入します。午後の収集を終えたら16時頃に帰社。日報の整理や車両の整備点検を行い、再度アルコールチェックを行い終業します」

―「仕事上のテクニック」があれば教えてください

「収集に使用するパッカー車の容量は3トン程度。収集途中で満タンになった場合は都度、焼却工場への搬入をはさまなくてはいけません。実は集積所によってごみの量はかなり異なりますし、季節によっても大きく変動があります。その度に収集ルートを最適化しないと、焼却工場への搬入が非効率になってしまいますので、必要に応じてルート変更を行っています」

たびたびのルート変更、大変ではないですか?

「収集ルートの最適化は”タブレット端末”がサポートしてくれます。このタブレットにはすべてのゴミ集積所を登録したナビアプリがインストールされていて、担当する収集ルートが表示されます。ルートをひと目で確認できるので変更もラクですよ。

また収集完了したポイントは、アイコンをタップすると”収集完了”に変わり、チーム全体へ即座に共有されます。”どこまで収集完了したか”をスタッフ全員が随時チェックできるので、例えば”あそこのエリアは収集に時間がかかっているようだ”と判断すれば、ほかのチームがサポートに回ることも可能なんです」

―収集時に気を付けていることについて教えてください

「進行方向の右側に集積所がある場合に左車線に駐車することはしないようにしています。パッカー車と集積所の距離が離れていると、横断の危険はもちろんのこと周囲を汚してしまうリスクがありますし、収集の負荷も余計にかかってしまいます。一方通行などでやむを得ない場合を除き、ルート設定の際にはその点も留意するようにしていますね」

―宮城県内で初めて「地上型の自家燃料タンク」を導入したとうかがっています

「そうなんです。これまで当社は、作業車に給油する”自家燃料タンク”を持っていませんでした。しかし東日本大震災を経験し、いざというときのための備えとして以前から導入を検討していたんです。多くの燃料タンクは引火事故のリスクが低いとされる地下型。でも宮城県は地震が多いですから、配管のズレなどでガソリンが土中に流出する環境汚染のリスクも心配でした。そのときアメリカ製の地上型燃料タンクがあると聞き、興味を持ったんです。これは”自動車の衝突事故や火災事故にも耐える”という強度を持ち、米軍も導入しているという優れもの。すでに運用している関東エリアの企業へも視察にうかがい、安全性を確信できたため2018年に導入を決め、2021年より運用をスタートいたしました」

―最後にごみ出しについての留意点があればお願いします。

「以前、モバイルバッテリーによる火災事故を経験しました。家庭ごみに入っていたモバイルバッテリーをパッカー車が巻き込んだ瞬間発火、消防車を呼ぶ事故になってしまったんです。私たちはごみ袋の外から視認できるもの以外、内容をあらためることができません。発火の危険がある機器類は、市役所やみやぎ生協さん、ヨークベニマルさんなどに設置している”小型家電回収ボックス”に出すか、または絶縁した状態でカン・ビン・ペットボトルの収集日に出すようお願いいたします」

―ありがとうございました。