プラスチック

仙台朝市商店街振興組合 理事長 入間田博さん / (有)佐藤敬商店 社長 佐藤誠さん /株式会社サトー商会 C&C本部 仙台朝市店 屋代英二さん

2021.01.19

JR仙台駅や地下鉄仙台駅からもほど近く、ランチやお買い物はもちろん、通勤・通学帰りに気軽に立ち寄れる市場として知名度と人気を誇る仙台朝市。“仙台市民の台所”として、70年以上にわたり、新鮮な食材を提供するだけでなく、地元の食文化から夕食のメニューまで、さまざまな情報を発信しています。

仙台朝市では毎年、仙台七夕まつりに伝統的な七夕飾りを掲出しています。2020年は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため中止になりましたが、これまでには、お店で使っていたトレーなどのプラスチック容器も上手にアレンジして、七夕飾りの一部にした店もあるそうです。

今回は、そんな仙台朝市商店街振興組合理事長の入間田博さんをはじめ、副理事長の佐藤誠さん、サトー商会の屋代英二さんに、プラスチックごみ減量に関するお考えや、レジ袋有料化後のお客さまの変化などについて聞いてみました。

仙台朝市商店街振興組合 理事長
入間田 博さん

—2020年7月1日からレジ袋が有料化されたことに対して、率直にどのような感想を持っていますか。

入間田さん
「レジ袋の有料化は、すごく良いことだと思うんです。利益を出すために有料にするわけではありません。今、叫ばれている海洋ごみの問題などを何とかしようという取り組みですからね。わたしは海が好きでよく行くんですが、水面にレジ袋やペットボトルが浮いていたり、プラスチック容器をはじめとするごみが砂浜に打ち上げられていたりするのを見ると、本当にがっかりしますし、島国・日本人として『恥ずかしいな』と思うところもあります。」

—入間田さんご自身、鮮魚店を経営しているので、なおさら海のごみの問題は気になるのですね。

入間田さん
「クジラの胃の中からプラスチックごみが出てきた…なんていうニュースを見聞きする度に、どうにかしなければならないという気持ちにはなります。ただ、問題はプラスチック容器を使うのをやめましょう、作るのもやめましょうなんていうような単純なことではないでしょう。わたしたちの日常生活に深く関わっている問題だからこそ、国民全員で考えることが大切だと思います。」

—身の回りには、本当にたくさんのプラスチックがありますからね。

入間田さん
「プラスチック製品は、確かに使い勝手が良い上に安いので、つい“使い捨て”してしまうんですね。見方を変えれば、わたしたちが経済的に豊かになったことで増えたごみとも言えると思います。そのライフスタイルを変えるのは至難の業だと思いますので、レジ袋削減もそうですが、使い終わったプラスチックをどう処理するのかを考えることも大切ではないでしょうか。」

—みんなで考えつつ、できるところから取り組む。そのはじめの一歩が、レジ袋削減ということになるでしょうか。

入間田さん
「そうですね。朝市の各店もほとんどがレジ袋を有料化していますし、うちの鮮魚店では、無料で配布できるバイオマス素材が25%以上含まれているレジ袋を使っています。お客さんたちにも、仙台朝市も例外ではなく、レジ袋が有料であることや、エコバッグを持参することは浸透してきたように思います。」

—買物をする時、消費者であるわたしたちができることは、エコバッグを持参することの他に何かあるでしょうか。

入間田さん
「40〜50年前なら、野菜は包装せずにそのまま、魚も新聞紙に包んでお客さんに渡していたものです。皆さん、底が広くて固い買物かごを持って来てくれましたから、それができたんですね。でも、今は昔ながらの買物かごを持ち歩くのは現実的ではありませんので、例えば保冷機能付きのエコバッグを用意することくらいでしょうか。これは余談ですが、娘に頼まれて、ある人気スーパーのエコバッグを買ってプレゼントしたことがあるんです。そんなお気に入りのエコバッグなら、忘れずに携帯するようになるのではないでしょうか。」

—コロナ禍でお客さまの出足に影響はありましたか。

入間田さん
「もちろん影響はありましたよ。国内外の観光のお客さんも減少しましたからね。でも、その中で学んだのは、お客さんが減るとごみも減りますが、なくなりはしないということです。人が活動していれば、ごみは必ず出るものです。そこで、こういった時期だからこそ、ごみの出し方やごみの回収方法などを、見直してみても良いのではないかと思っているところです。プラスチックごみに関しては、ごみステーションのようなものを設けて、決められた場所に集めるといったこともできるかもしれません。」

—そうなると、組合員の方々のごみに対する意識が、より一層、良い方向に変わるのではないでしょうか。

入間田さん
「そうですね。プラスチックごみ削減に対する取り組みははじまったばかりです。これから、みんなで考えていくことが大切なので、時間はかかっても、一緒に取り組むことで良い結果に結びつくと信じています。本当に良いことは、時間はかかっても続けられるものです。実は最近、仙台朝市で購入した商品を自宅まで配達するサービスをはじめました。HOLAX(ホラックス)*というものですが、例えば、HOLAX専用のエコバッグを作り、毎回これを使ってお届けするということもできるかもしれません。これから、いろいろなやり方を考えていきたいと思います。」

*仙台朝市商店街振興組合では、買い物代行・配達業の「HOLAX」と連携して、2020年12月から朝市で購入したものを自宅まで届けてくれる宅配サービス(有料)を開始。「荷物を気にせずに買い物ができる」と注目が集まっています。

配達サービスHOLAX(ホラックス)の案内看板

実際に仙台朝市にお店を構える海産物を扱う佐藤敬商店の佐藤誠さんにお話を伺ってみましょう。

仙台朝市商店街振興組合 副理事長 
有限会社佐藤敬商店 社長
佐藤 誠さん

—佐藤さん、レジ袋有料化後のお客さんの反応はいかがですか。

佐藤さん
「有料化の初日から、エコバッグを持参してくれるお客さんがほとんどでした。いまもレジ袋が売れるのは1日に数枚程度です。実はわたしたちもプラスチックごみの削減に寄与したいという思いから、1枚10円の大きなレジ袋を1種類しか用意していないんです。お客さんに“高い”と思っていただき、次回からはエコバッグを持ってきてもらうことを狙ったんです。そういった意味では、この作戦は成功と言えるのではないかと思います。」

次に、業務用食品専門商社サトー商会の屋代英二さんにお話を伺ってみます。

株式会社サトー商会
C&C本部 仙台朝市店
屋代 英二さん

—では、サトー商会の屋代さんは、プラスチックごみ削減にどのように取り組んでいるのでしょうか。

屋代さん
「当店は業務用食品の小売店ですから、プラスチックの容器をなくすといったことは基本的にはできません。ただ、前職でごみの減量に関わっていたこともあり、自分なりに考えて、以前は値札にラミネート加工を施していたのをやめて紙だけにしたり、店内の掲示物をクリアファイルに入れて中身を入れ替えて繰り返し使用することで、“使い捨て”をやめています。また、業務用食品は大型の商品も多いので、段ボール箱置き場を入り口に用意し、それをバッグ代わりに使ってもらえるよう、無料で提供するなど、工夫しながらごみを増やさない行動をとっています。」

—プラスチックごみ減量への取り組みは、はじまったばかり。71店舗の知恵と工夫が集まって、さらに新しいチャレンジがはじまるかもしれません。

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