今年は新型コロナウイルスが世界中を混乱させ、今までの「当り前」を変えた年といえるのではないでしょうか。なかでも4月5月と続いた自粛生活において、みなさんの暮らしの中で起きていた変化ではないかと思われるのが、テイクアウトやデリバリーといった食事スタイルの変化です。

ただ、ここでふれておきたいのは、そうした商品のほとんどがプラスチック容器に入っているということです。テイクアウトやデリバリーで食事となると、どうしても衛生面や利便性などでプラスチック容器を選択することが多いと思われます。

テイクアウトやデリバリーでの食事のスタイルはわたしたちの新しい「当り前」になっていくのかもしれませんが、そうした状況のなかで、環境問題にふれていくことは可能なのか、可能にしていくにはどうしたらいいのか。わたしたちの街にあるお店の方たちを訪ねて、コロナ禍の状況のことと、これからのことをお話いただきました。

 洋食のテイクアウトとデリバリーを長年行ってきたということで、株式会社オールスパイスの角田秀晴さんにお話をうかがいました。取材場所はJR長町駅に直結するショッピングモールtekuteながまちにある『カフェ&ダイニングHACHI』です。

株式会社オールスパイス 代表取締役 角田 秀晴さん

―テイクアウトとデリバリーを始めたきっかけについて教えてください。

角田さん「わたしたちのお店は様々な形態で営業してきたので、メニューも多く、効率が悪いのではないかと言われたりしていました(笑)。ただ、様々な形態でやってきたことで、テイクアウトメニューも種類を増やすことができるのではないかと思っていたのです。そんなことを考えているうちに、リーマンショックが起きて、不景気になってしまった。そうなると、お店を増やしても、来ていただいて飲食をするというのは減っていくのではないかと考え、デリバリーを始めました。ここでちょっとお聞きしたいのですが、デリバリーと出前の違いってわかりますか。」

―考えたことありませんでした。

角田さん「ふつうはあまり考えないことですよね(笑)。はっきりした正解はないのですが、わたしが考えたのは、デリバリーって食べ終わった器をさげにいかないんです。それが出前との違い、つまり、配達時の一回だけで済むということです。これだけでも件数をこなしていくにはかなり違いがあるんです。」

―そう言われてみれば、以前は玄関の前に、前の日の食事でとった出前の器である寿司桶だったり、ラーメンの丼だったりが置いてあるのをよく見かけました。その光景はなくなったわけではないでしょうが、かなり減っていますね。それだけ、デリバリーというスタイルが当り前になっているということだと思うのですが、始めてすぐにデリバリーという形態はうまく機能しましたか。

角田さん「最初はなかなかやり方やペースがつかめなかったのですが、2年くらい経つと、コツがつかめてきて、メニューや値段がうまく組めるようになりました。容器に関しても、様々なものを試しました。業者の方がサンプルとカタログを持ってきてくれるのですが、容器自体もどんどん性能が良くなっていきました。ただ、それはプラスチック素材のものなんです。」

―容器ひとつをとっても、試行錯誤してきたわけですね。食事のデリバリーには最適でも、環境のことを考えると複雑な思いもあるということですね。

角田さん「はい。どうしてもプラスチックごみ削減と思っていても、容器に適しているのはプラスチックのものなんです。そして、デリバリーの注文が多いのは法人の方たちです。会議や残業などの時に多くの注文が入ります。そうした注文に応えて、続けてきたのですが、最近は、食べ終わった容器を回収してもらえないかと言われることが増えました。そんな時に、みなさん、ごみの問題を抱えているんだなと思うようになり、容器の回収をするようにして、自分たちで適正な処理をするようにしたんです。」

―デリバリーなのに、器をさげることになったんですね。

角田さん「そうなんです。器をさげない、のがデリバリーだと思っていたのですが、時代は巡るのか、またさげる必要性が違う形で出てきましたね。そして、それを自分たちはやっていくべきだと思いました。」

―会議や残業の際においしい食事ができて、仕事に戻る時に器を回収してもらえたら、ごみも出ないし、会社ではかなり助かりますね。ただ、コロナ禍だと状況は変わりますよね。

角田さん「今年は、ずっと大変です。コロナ禍の状況で仕事はテレワークになり、会議や残業がなくなってしまったので、経営は厳しい状況が続いています。それに加えて、今までやっていなかったお店もデリバリーを始めたので、新しいお店のメニューを食べたいと思うと、わたしたちは不利になります。そういう意味では、自分たちのやり方を見直すタイミングになったのでしょう。」

―見直すタイミングとはどんなことなのでしょう。

角田さん「今日のお話のテーマになっている環境のことで言えば、容器は今までいろいろ探してきて、辿り着いた感じはあったんです。パッケージも当店オリジナルのものを作れるくらいになりました。ただ、他のお店のデリバリーのメニューなどを見ていると、紙のパッケージで対応しているところがあったりして、勉強になることも多いんです。経営している以上、メニューの内容もそうですが、どうしてもコストのことは気になります。だけど、あきらめずにアタックしていくことは大事だと気づかされます。デリバリーが当り前になると、お店を出す場所も考えていかなくてはいけません。たとえば、お店が公園の中にあれば、テイクアウトして、公園で食べることができたりします。お店の使い方も変化していく時なのかなと思っています。お客様がお店を使って仕事ができるようにしたりとか、今までとは違うことを考えていきたいんです。」

―どんな状況でも前を向いて考えていく、と言葉で言うのは簡単ですが、実際には大変なことだと思います。今までと違うことにチャレンジしたいと考えるのは、このような状況でも大事なことなんですね。

角田さん「他のお店の方と話す機会があるのですが、やはり、どこも大変だと言っています。ただ、こんな時だからこそ、他のお店と一緒にやっていくことも必要だと思っています。先ほど話した容器の話もそうです。アイディアを出し合ったり、コストがかかるのであれば、行政の方も巻き込んで話していく必要があると思います。SDGsや働き方改革などは、これからの社会の大切な課題です。取り組んでいる企業も増えています。だけど、大きな企業にはできて、地域にある、わたしたちのような小さな企業ではできないとなると、それはなにか違うのではないかと思ってしまいます。できることは限られているかもしれませんが、だからこそ、つながりを大切に取り組んでいかないといけないと思っています。」

<HACHI HP>

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