プラスチック

株式会社ハミングバード・インターナショナル 小林卓也さん

2020.11.09

今年は新型コロナウイルスが世界中を混乱させ、今までの「当り前」を変えた年といえるのではないでしょうか。なかでも4月5月と続いた自粛生活において、みなさんの暮らしの中で起きていた変化ではないかと思われるのが、テイクアウトやデリバリーといった食事スタイルの変化です。

ただ、ここでふれておきたいのは、そうした商品のほとんどがプラスチック容器に入っているということです。テイクアウトやデリバリーで食事となると、どうしても衛生面や利便性などでプラスチック容器を選択することが多いと思われます。

テイクアウトやデリバリーでの食事のスタイルはわたしたちの新しい「当り前」になっていくのかもしれませんが、そうした状況のなかで、環境問題にふれていくことは可能なのか、可能にしていくにはどうしたらいいのか。わたしたちの街にあるお店の方たちを訪ねて、コロナ禍の状況のことと、これからのことをお話いただきました。

今回お話をうかがったのは、株式会社ハミングバード・インターナショナルのスーパーバイザー小林卓也さん。お話を聞きたいと思った理由は、コロナ禍の状況で自粛生活が始まった時に、勾当台公園市民広場にある『Route 227’s café TOHOKU』の「タクシーを使ったデリバリーを始める」というニュースを見たからです。株式会社ハミングバード・インターナショナルの代表取締役青木聡志さんがこの状況を乗り切ることの切実さを話していらっしゃる姿が心に残りました。

―『Route 227’s café TOHOKU』の名前はどういう意味があるのでしょうか。

小林さん「このカフェは東北6県の市町村の数である227からきています。東北の魅力―知られていないものも含めて―食材や文化などを、食を通して表現していき、発信していくというコンセプトがあります。」

―ということは、各地域との関わりは欠かせないものになりますね。

小林さん
「各地域の自治体との連携は初めてのことが多かったので、ひとつひとつ手探りでしたね。これからは、この場所を使って、名産品などをPRしてほしいと思っています。」

―各地域とのお仕事のなかでは、地域の課題にもふれることはありましたか。

小林さん
「仙台でいえば、定禅寺通や一番町商店街は通行人が以前より減ってきているというのがありましたし、国分町も若者が来なくなっているという課題がありました。定禅寺通近くにお店を出すということは、そうしたことを意識し、定禅寺通全体をオープンテラスのように考えて、活性化させていきたいという想いがあります。」

株式会社ハミングバード・インターナショナル スーパーバイザー 小林 卓也さん

―地域課題にも様々なことがあると思いますが、この取材の主旨でもある、環境問題について考えることはありましたか。

小林さん
「いまは開催されていませんが、以前は毎週イベントが開催されていて、ジャズフェスやよさこい、24時間テレビなど大きなイベントも多く、そうなると、お客様も増えて、賑やかになるのですが、やはり、ごみも増えてしまいます。分別を呼びかけるごみ箱も設置されているのですが、来場者の数に比例していないと思いました。海外のイベントなどでは、ごみの分別をするとごみ箱から音が鳴ったりして、子どもたちも楽しめるものがあります。そうした工夫などができるといいのですが。」

―イベントが大きいものであれば、活性化につながりますが、ごみ問題も出てくるわけですね。ですが、いまはイベントが全くできない状況ですよね。コロナ禍の状況ではやはりテイクアウトなどの対応が多かったのでしょうか。

小林さん
「もともと、テイクアウトはあったのですが、ドリンクが中心でした。コロナ禍の状況になり、お店が営業できなくなって、どうやって売り上げをつくるか、いろいろ頭を巡らしましたが、やれることはすべてやっていくしかない、と思いました。緊急事態宣言が解除されて、営業が再開できても、すぐに元に戻るとは思えなかったので、少しでも売り上げにつながるように、仕組みを構築していこうと必死でした。」

―ニュースで、タクシーのデリバリーのことを知りました。

小林さん
「自社配送のデリバリーもあったのですが、タクシー会社の方たちも困っていて、話題性もあったので、その企画を始めました。4月から5月前半は思った以上に利用していただけました。テイクアウトの方も関係者や知り合いの方たちが買ってくれたりして、とても助けられました。」

―大変な状況だったのに、自分たちだけではなく、タクシー会社の方たちも、と考えたことは、とても大切なことに思えます。

小林さん
「最初はうちと仙台中央タクシーさんとだけでしたが、それはプラットフォームを作ったということでもあったので、地元のお店の方たちも次第に参加してくれるようになり、いろいろな可能性を探っていくことになりましたね。」

―課題に取り組むことに対して、つながりをつくり、大切にしていくことは、環境問題においてもヒントがあるように思えます。

小林さん
「7月にレジ袋が有料化になったニュースなどを見たりすると、お店ではプラスチック容器を使っているので、正直言って、複雑な気持ちになります。いまは使わざるをえないけど、これからどうしたらいいのか、逆に聞きたくなるというか……。」

―やはり、気にはなりますよね。

小林さん
「これからは、環境に良い容器を積極的に使っていきたいと思ってもいたりして、環境問題を意識はしているんですよね。レジ袋にもバイオマスを使ったものがあることを知ったりすると、知らないことがまだまだあるなと思ったり……。そういう情報や知識の共有をできる仕組みを作ることや、実際にそういうものを使っているお店などには自治体が助成金を出したりするとか、そうした連携が増えていくと、さらにがんばれるのではないかと思います。影響は小さいのかもしれませんが、地元でできることを地元のお店の方たちと考え、実践していくことで、自分たちの街ならではのモデルがつくれるといいなと思います。」

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