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生ごみからバイオガスを作ろう!~バイオガスでお湯を沸かしてお茶を飲もう~

  • 令和8年7月26日(日)15:00~16:30
  • 会場:青葉山公園 仙臺緑彩館
  • 講師:多田 千佳さん(東北大学大学院 農学研究科 准教授)

「生ごみ」が、生活を支える「燃料」に生まれ変わる

 皆さんは「バイオガス」という言葉を聞いたことはありますか?これは、生ごみや家畜のふん尿などの有機物を微生物の力で分解して作る燃料のこと。本レポートでは、生ごみからできたバイオガスを使ってお湯を沸かし、そのお湯で淹れたお茶を味わう体験講座の様子をお伝えします。 普段捨ててしまうごみが、生活に役立つ燃料に変わる――そんなサステナブルな未来の暮らしを、リアルに実感するひとときとなりました。

当日はあいにくの雨模様にも関わらず、親子連れなどの参加者でにぎわいました。

バイオガスは意外なところから生まれる

 講師を務めるのは、東北大学大学院 農学研究科 准教授の多田 千佳さんです。多田さんは生ごみなどの有機性廃棄物からエネルギーを作るバイオガス研究の知見を活かした、体験型の出前講座やイベントを精力的に開催しており、その活動エリアは全国にまで及びます。

 まずはスライドで、これから作るバイオガスが「牛のゲップ」にも多く含まれるメタンガスであること、既存の燃料とそん色ないエネルギー源であることなどについてレクチャーがありました。 さらに、今日のバイオガス作りが「牛の胃の中の環境を再現することである」と説明し、「では、牛の胃の中はどんな環境でしょう?」という問いを参加者に投げかけます。これまで考えたこともなかった問題に参加者の皆さんは頭を悩ませながらも「水分がある」「暖かい」「咀嚼して細かくなった食べ物が入ってくる」など、自分なりに考えた「牛の胃の中」のイメージを答えていました。

専門は環境微生物学。生ごみからエネルギーを作るバイオガスの研究とともに、全国で体験型の出前講座やイベントを精力的に開催し、資源循環の魅力を伝えています。

バイオガスを育む「牛の胃の中」では、どんなことが起きているのかを説明していきます。

バイオガス作りに挑戦!

 いよいよバイオガス作りに挑戦します!参加者の皆さんが持参した野菜くずや果物の皮といった生ごみをミキサーにかけ、“微生物の餌”となるマルチミネラルやビタミン剤を溶かした液と撹拌します。その後、液体のpHが「弱アルカリ性」になるよう調整し、微生物の入ったボトルに注いでいきます。

 あとは微生物のはたらきでバイオガスが発生するのを待つだけですが、ここから十分なバイオガスが発生するには、牛の体温に近い39度程度の環境で3週間ほど置く必要があるため、今回は多田さんが研究室から運んできた「3週間後のバイオガス」に着火し、本当に火が付く“燃料”になることを確認しました。

 さらにガスを出し切った後に残る液体も、肥料として利用できるそうです。ただ捨てるだけだった生ごみも、微生物の力を借りれば燃料や肥料という生活の役に立つものに変えられる――本当に、驚きの連続です!

まるでお料理をしているみたい?「バイオガスの素」を作る参加者たち。

バイオガスでお茶を淹れて、ほっとひと息

 バイオガス作りがひと段落した後は、お楽しみのティータイム。仙臺緑彩館内の和室に移動して「バイオガスで沸かしたお湯」でお茶を淹れ、お茶菓子と一緒にいただきます。お茶は茶葉で淹れる煎茶やほうじ茶に加え、なんと抹茶まで登場!参加した子どもたちも、お母さんに茶筅(ちゃせん)で点ててもらった薄茶を、興味津々な顔で味わっていました。 

 お茶をいただきながら、トークテーマは「自分ならバイオガスとどうつきあう?」というアイデア合戦に。「家庭菜園に液肥を使って、バイオガスはビニールハウスの燃料に」「災害時に発電機を動かす燃料にできないか」「町内会で生ごみを回収すれば、まとまった量のバイオガスが作れそう」など、ご自身のお仕事や生活に絡めたさまざまなアイデアが飛び出していました。

「こんな活用法はどうかな?」いろいろな視点からバラエティに富んだアイデアが次々と。

 現時点では微生物の入手や温度の管理などがハードルとなり、「気軽にチャレンジ」とはいかないかもしれません。それでも、ちょっと先の未来では「バイオガス製造機」や「微生物」が簡単に手に入り、「生ごみでバイオガス」が日常になっているかも?そんなワクワクする景色に、思いを馳せる一日となりました。

<参加者の声>

  • 毎日家庭から必ず出る生ごみで、お風呂が沸いたり、部屋を暖めたり……と想像するのも有意義なひとときでした。「自分ならバイオガスをどう活用するか」を、じっくり考えてみたいと思います。
  • 園芸関連の仕事なので、もともと「バイオ液肥」の存在は知っていました。ですが、その先に「燃料」としての可能性があったことにびっくり。ハウスの燃料などに活用すれば、まさに捨てるところなしの「循環型農業」が実現しそうです。

<講師から>

多田 千佳さん/東北大学大学院 農学研究科 准教授

 この講座は小学生や大学生など、さまざまな層を対象に行っているのですが、その都度出てくる意見が異なっていて興味深いですね。今日は大人の方が多かったので、実践的なアイデアがたくさん出てきたなぁと感じました。
 回によっては裏千家の先生をお招きして、本格的なお茶会をやることもあるんですよ!ぜひ機会があれば、多くの方にご参加いただきたいですね。

 実際には、大規模施設によるメタン発酵や、食品工場から排出されるごみのエネルギー化はかなり進んできていますが、家庭ごみのメタン発酵はまだまだ途上です。それは、生ごみをワケルことがネックになっています。

 今回のような体験をしていただくことで、自分の家から出る生ごみをエネルギーや液肥にする循環型地域をつくるために、生ごみをワケて有効利用しようという考えが仙台市内に広がるといいなと思っています。