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“食品ロス”を減らす工夫を発信するリーダー養成講座がスタート

 家庭での食品ロスを防ぐための知識や技術を習得し、食を通じてエコな暮らしを提案する「せんだい食エコリーダー」。2018年に一期生養成講座が行われ、認定を受けたリーダーたちは現在、学んだノウハウをSNSや講座を通じて発信しています。

 そしてこの度、二期生の養成講座がスタートしました。受講者たちは「せんだい食エコリーダー」認定を目指し、10月から12月まで全4回の講座を受けることになります。ここでは先日開催された、第1回目の講座の様子を見ていきましょう。

講座には23名が参加しました。

「食品ロス」を減らすには一人ひとりの意識が大切

 気持ちの良い秋晴れとなった10月8日、23名の受講者たちが会場に集まりました。第1回目の講師を務めるのは、食品ロス削減アドバイザーとして多くのメディアで活躍する、料理研究家の島本美由紀さんです。

 まず、SDGsに定められた17の目標のうち、食品ロス問題と関連する「目標12 つくる責任・つかう責任」の説明、そして食品ロスの現状についてお話がありました。農林水産省の令和5年データによると、国民ひとり当たり年間約37㎏の食品ロスが発生しているそう。これを1gでも減らす努力を続けることが、未来の地球を守ることに繋がります。

ラク家事アドバイザー、冷蔵庫収納&食品保存アドバイザー、防災食&備蓄アドバイザーとしても活躍する島本美由紀先生

お互いの素性や姿勢を知り合う「1分間」

 今回の講座では食品ロス削減の工夫を知るだけでなく、「食エコリーダーとして情報発信する意識の醸成」も大切なポイント。まずは人前で話すことに慣れるため、受講者全員が自己紹介を行いました。制限時間は1分間。社会活動の経験や応募の動機など、お互いのバックボーンを知ることで、少しずつ打ち解けた空気が生まれ始めます。

制限時間内に話し切ることも、情報発信において大切な要素のひとつです

学ぶだけに留めず、情報を「広める」人材を目指そう

 食品ロスになりやすい食材のトップはダントツで野菜。“必要量以上に買い過ぎて、傷ませてしまい廃棄”という経験に誰しも覚えがあるでしょう。買い過ぎた野菜を廃棄しないためには、なにより「長持ちさせる保存方法を身に着ける」ことが大切です。傷みやすいもやしや葉野菜、体積の大きいキャベツなどを、どう保存すべきかのひと工夫について、島本さんからアドバイスがありました。

 あわせて食エコリーダーとして情報発信する際の留意点やテクニックについても指南が。多くのメディア出演歴を持つ島本さんならではの、気づきやポイントをたっぷりと伝授。受講者たちはうなずきながらしっかりとメモをとっていました。

工夫やテクニックだけでなく「公に情報発信する」意識醸成にも重きを置いた講座内容

さまざまな知見を持ちよりアイデアを生み出すワーク

 最後は5班にわかれてのワークショップへ。「“食品ロス削減”をテーマにしたセミナーをする」というお題の下、班ごとにテーマを話し合いました。実は今回の受講者たち、栄養士や飲食店の事業主など、食に携わるさまざまな経歴を持つメンバーぞろい。その知見を活かしつつ、各自が活発に意見を出し合っていました。

 そして15分間の話し合いを終え、班ごとに決めたテーマを発表。「葉付きの大根を丸ごと使った料理教室」「コンポストの活用指南」「冷蔵庫にあるものだけでおつまみづくり」など、楽しそうなアイデアが次々と飛び出し、会場はすっかり和やかな空気に。ワークを通じ受講者同士で打ち解けた様子がうかがえました。

テーマだけでなくターゲットやプログラム構成までしっかりと考えられたアイデアが次々と発表されました

 単に食材を余らせない・使い切る工夫に留まらず、「情報をわかりやすく伝える」「伝える情報を精査する」という、情報発信する際の姿勢もあわせ、学びの多い講座となった今回。受講者たちは次回以降の参加に意欲を見せていました。

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<参加者の声>

・今回の講座を通じて「学びを広く伝える活動をする」という選択肢があることに気づかされましたね。残り3回の講座を通じ、ぜひ自分の得意分野を探っていきたいと思います。

・参加された方たちのバックボーンがとても多彩で、ワークの話し合いも非常に刺激的でした。学ぶ内容はもちろんですが、ここで出会った方と横のつながりが生まれそうなことにも期待感を持っています。

・いろんな社会経験を持つ方々の意見から、それまで気づかなかった部分に思いが至る瞬間がいくつもありました。この先の講座で、どんな学びがあるのかとても楽しみになりました。

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<講師から>

島本美由紀さん/料理研究家・食品ロス削減アドバイザー・防災士

食品ロスにまつわる講座は各地で行っていますが、仙台は特に「自分の学びを地域貢献につなげたい」という意欲のある方が多いように感じます。学んだことを自分の中で完結させず、周囲を巻き込んでいくような方が多く育ってくれることを期待しています。