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誰かの不要品が誰かの宝物になる無償譲渡会を開催!一般社団法人 ございん八木山

2023年10月29日(日)、太白区八木山の閑静な住宅街の一角に行列ができていました。老若男女さまざまな方が並んでいた行列の先で開催されていたのは、不要品の無償譲渡会『ただもん市』です。会場には、ご家庭で不要になり会場に持ち込まれた衣類、食器、家電、おもちゃ、小物などさまざまなものが並んでいて、来場者が好みのものをじっくり選んで貰い受けていました。

『ただもん市』を運営しているのは、一般社団法人 ございん八木山です。2022年8月に生まれたこの法人は、この地域の老人クラブ「八興(はっこう)クラブ」が母体となって作られた、全国でも珍しい高齢者発信の福祉と生活の課題解決を目的として設立された法人です。

今回はございん八木山の代表理事 井上則雄さんにご協力いただき、団体設立の経緯や『ただもん市』の詳細、そして今後の展望などについてお話をお聞きしました。

一般社団法人 ございん八木山 代表理事 井上 則雄 さん

―――ございん八木山を設立したきっかけを教えてください。

井上さん

「もともと我々は八木山東町内会の老人クラブ『八興(はっこう)クラブ』として活動していました。活動拠点として町内の方の家の一部を『好日庵』(集会所)として借りていたのですが、その家主さんから“お世話になった地域に役立つように使ってほしい”と土地家屋の無償譲渡の申し出を受けました。そこで町内会と相談し、譲渡先として法人を設立したのがきっかけです。」

―――なぜこの場所で無償譲渡会を催すことにしたのですか?

井上さん

「この地域は造成初期の団地で高齢化率が約35%と高く、終活に向けての家財の整理が大変だという声が挙がっていました。そこで我々がそうした方の不要品を引き受けて入り用の方に譲渡することで、終活のために何か役立つことをしようと実施しました。加えてイベントを通してこの場所とございん八木山という団体を知ってもらうこと、我々のサポーターを増やすことも目的にしています。」

――町内外からたくさんの方が活用されているようですね。今回の『ただもん市』でも、会場にはさまざまなものが持ち込まれていました。中古とはいえどれも見栄えがよくて、まだまだ使えるものばかりでしたね。

井上さん

「譲渡していただける方には、『ただもん市』開催の前日に不要品を持ち込んでいただいています。たまにすごい掘り出し物を持ってくる方もいるんですよ(笑)。貰い受ける方は、宝探し感覚で楽しみながら欲しいものを探しているようですね。いち早くいいものを見つけたい方が開場前から行列を作っています。」

『ただもん市』当日の朝、約15名の方が行列を作って開場を待ちわびていました。

―――オープンの30分以上前から並んでいた親子の二人にお話を聞いたら、毎回楽しみにしていると話していました。昭和30~40年代のテイストが好きという若い方もいましたよ。終活で無償譲渡される方がちょうどその年代のものを持ち込んでいるので、趣味に合うということでした。持ち込みされる方からはどのようなお話を聞いていますか?

井上さん

「皆さん異口同音に言うのが“貰ってもらって嬉しい”ということですね。やっぱりどんなに高価でも邪魔なものは処分したいという気持ちがあるようです。譲渡する方はご高齢の方が多いですが、子育て世帯の方が遊ばなくなったおもちゃを持ち込まれるなど、いろいろな世代が来てくれます。また持ち込みだけでなく、“扇風機ありませんか?”と、譲渡のお願いがくることもありました。『ただもん市』などの活動が地域の役に立つ流れになって、ございん八木山が頼られる存在になりつつあるのかなと思います。」

譲渡品の中には、ブランドバッグやラグジュアリーブランドのガラス製品など高価なものも。
譲渡希望者が多い場合は抽選が行われます。

―――とてもきめ細やかな対応ですね。

井上さん

「我々は地元の方々と交流していきたい、そしてそのことを知らせしていくのが大事だと思っています。一般社団法人で無償譲渡会のような福祉と生活の課題解決に寄与する活動をすると、意識が高そうというか、目線が高く感じてしまわれそうですが、決してそんなことはないんです。皆と一緒に悩んで解決に向けて発信していきたいと思っています。」

『ただもん市』の会場は、スタッフ以外の入場は3名までにしています。おかげでじっくりと品定めができます。

―――来年1月28日と3月24日にも『ただもん市』を開催するようですね。今後の運営にあたり抱負はありますか?

井上さん

「私の希望としては、将来的には『ただもん市』をアネックス(別館)方式にできればいいなと思っています。八木山で開催した『ただもん市』で残ったものと新しい持ち込み品とで、次は別の町で開催するなど市内で循環ができ、地球環境にもやさしい、そしてこのスキームがSDGsの凡例につながるんじゃないかなと思います。そのためには、『ただもん市』を開催する会場と、各アネックスで運営する人(マンパワー)が必要。親和性の高いアライアンス先を見つけて、協働していきたいと考えています。」

―――それは非常に楽しみですね。実現できるのを期待しています!他にも、ございん八木山では「皆で談話室」「スマホ教室」「終活教室」などのイベントを無償で開催して、世代や地域を超えた交流の場を持たれていますね。

井上さん

「それぞれ参加者の方に大変喜ばれています。今日談話室を利用していた方々の中で、80代のご夫婦から“パソコンを学びたい”と希望が出たので、パソコンを学ぶ場も展開していこうかという話が出ました。高齢者が何もしないで日常を過ごすのは、とても大変なことです。でも我々と出会ったご縁でパソコンを操作できるようになれば、その方々の人生がもっと開ける気がしているんです。こうやって誰かのために役立てる新たな芽を伸ばしていけば、小さい活動から輪が広がっていくんじゃないかなと感じています。」

取材協力:一般社団法人 ございん八木山